日本人と外国人との国際結婚は年々増加しています。
日本人と外国人の国際結婚の手続きについてはこちらでも解説しています。
ただ,結婚しようと思っている外国人の方が,過去に日本から強制送還(退去強制)されたことがある人だった,ということも珍しくはありません。
このページでは,過去に日本から強制送還されたことのある人と結婚して,日本で結婚生活を営むことが出来るのかどうかについて解説します。
この問題を考える時に,大きなポイントになるのは,「現に結婚相手が日本にいるのかどうか」です。
このページの目次
結婚相手が日本にいる場合
結婚相手が日本にいる場合であれば,さらに①適法な在留資格があるか,②在留資格がないか,で更に場合が異なります。
①在留資格がある場合
在留資格のある外国人の方と結婚しようと思うのであれば,基本的には手続き上,何も問題はありません。
過去に強制送還されたことであっても,現時点で日本で適法な在留資格があるのであれば,結婚後も日本で生活することに何も問題はありません。
日本で婚姻届を提出した後は,在留資格の変更申請を行いましょう。
多くの外国人の方にとって,日本人と結婚した際には,「日本人の配偶者等」の在留資格へ変更することによって,日本での活動の場が広がったり,在留期限が長くなったりする等メリットが多いので,変更の申請を積極的に行うと良いでしょう。
②在留資格がない場合
何らかの理由で在留資格がない場合,例えば不法残留(いわゆるオーバーステイ)の状態となってしまっている方との結婚をお考えの方は早急に専門家に相談した方が良いでしょう。
オーバーステイの状態となると,入管に摘発されれば基本的には強制送還の対象となり,2回目の強制送還となると再入国までは最低でも10年は待たなければならないことになります。
リスクはありますが,オーバーステイの状態でも日本人と結婚して,引き続き日本での在留,生活を続けたいと思うのであれば,準備を整えた上で入管へ出頭することも充分に考えられるでしょう。在留資格がない状態でも,パスポートなどの身分証があれば,住んでいる場所の市役所などで外国人登録をすることが出来ます。外国人登録を行ったうえで婚姻に関する手続きを行いましょう。日本の法律では,婚姻をするために在留資格は必要ではないので,不法残留の外国人の方との間であっても,婚姻は有効です。
婚姻の手続きをとり準備を整えた上で,在留特別許可を求めて入管へ出頭することを検討します。
基本的には不法残留となってしまった場合,強制送還されるか,一定の期間を設けてその間に出国するという出国命令が出されます。
しかし,強制送還の対象となっても特別な理由から日本での在留を認めるべきと判断されれば,在留特別許可が付与されます。
もちろん,入管へ出頭することは強制送還のリスクもあるので,どのような対応をしていくのか入管業務についての専門家とよく相談しておきましょう。
結婚相手が日本にいない場合
結婚相手が日本にいない場合となると,「呼び寄せ」の手続きをとることになります。
呼び寄せとは,「在留資格認定証明書」と呼ばれる書類を取得する手続きです。
結婚の手続きは外国人本人が日本にいなくても進められるため,日本に来る前でも,婚姻届の提出などの手続きは完了できます。
「呼び寄せ」の手続きで問題となるのは,
①強制送還された後,再入国のための期間を経過しているか
②偽装結婚と疑われないか
という点です。
強制送還された後は,その事情に応じて,一定の期間日本への再上陸が禁止されます。
そして,再上陸が可能な時期であっても,在留資格の審査においては「偽装結婚ではないか」という疑いが向けられることがあります。
真正な結婚であることを入管に対して示すためには,交際時のメッセージの内容や,互いの家族との顔わせの状況やその写真を証拠にして,偽装結婚ではないことを十分に証明していかなければなりません。