様々な理由があっても,一度日本から強制送還の命令を受けて出国してしまうと,その後しばらくの間,もしくは無期限に日本に再入国できなくなってしまいます。
一番確実なのは,この再上陸拒否期間がすぎるのをまつことですが,
- 再上陸拒否期間が過ぎるよりも前に日本に入国しなければならない
- 無期限の再上陸拒否なのでどれだけ時間が経っていても入国できない
という場合があります。
今回は,再上陸拒否期間に日本に再度入国するための,「特別上陸許可」について解説します。
特別上陸許可とは
特別上陸許可とは,「本当だったら日本への上陸を認めない人だけれども特別な事情から上陸を認める」という入管の措置です。
在留特別許可が「出ていくときの例外」とすれば,特別上陸許可は「入国する時の例外」というイメージです。
特別上陸許可を認める場合としては法律上,
- 1 再入国の許可を受けているとき
- 2 人身取引等により他人の支配下におかれて本邦に入ったものであるとき
- 3 その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるとき
とされています。
そして,強制送還された後,再上陸拒否期間の間に日本に入国したいと希望する場合の多くは,③の場合であることが多いでしょう。
特別上陸許可を認めるかどうかの判断においては,日本に配偶者や子供などの家族がいるかどうかという点が強く考慮されます。
特別上陸許可をもらうための手続
特別上陸許可をもらって日本に入国しようと思っても,いきなりその手続ができるわけではありません。
入管に対して,いきなり「特別上陸許可をください」という申請をするようなものでもありません。
上陸特別許可をもらうための手続としては,
1 上陸審査の時に特別上陸許可がなされるように申出をする
2 日本で短期滞在(ツーリスト)以外の在留資格を申請しようとする場合には「在留資格認定証明書」の交付を請求する
という手段があります。
このうち,「1上陸審査の時に申出をする」という手段だと,いわば「ぶっつけ本番」になってしまいます。
強制送還の手続きの時と同じように,上陸審査の時には弁護士が立ち会うことができるので,事前に入国の日付などが分かっていれば上陸審査の時に合わせて立ち会うこともできます。
ですが,認められなかった場合にはそのまま出発国に飛行機や船で帰国させられることになってしまいます(この場合の帰国は強制送還とは別です)。
そのため,入国したいと思う時期まで少し余裕があるならば,「2在留資格認定証明書の交付を請求する」という手続きをおすすめします。
この手続は,本来,日本での在留資格が認められるかどうかを事前審査するという制度です。
ですが,再上陸拒否期間中の方の場合には,「特別上陸許可を与えるかどうか」という点についても,「在留資格認定」と併せて審査をする運用がなされています。
そのため,再上陸拒否期間内であっても,在留資格認定証明書が発行されれば,それをもって日本の上陸審査を通過できることになります。
この,在留資格認定証明書をもらうための手続は,本人または代理人が入管の窓口で行わなければなりません。
代理人として認められるのは,親族か弁護士,行政書士などの資格のある人だけです。友達や恋人という立場では代理人として申請をすることができません。
再上陸拒否期間内であっても日本に入国したいという場合や,その手続について相談したいという場合には,弁護士に一度ご相談ください。