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1 「高度専門職」とは
「高度専門職」という在留資格は,2017年4月から新しく認められるようになった在留資格で,特定の分野で特に優れた能力や功績があり日本で活動することで日本にとって利益になるとされる人に認められる在留資格です。
高度専門職の在留資格が認められる人を,「高度外国人材」といい,
- 学術・研究分野(高度専門職1号イ),
- 自然科学・人文科学の知識を必要とする業務(高度専門職1号ロ),
- 事業の経営・管理業務(高度専門職1号ハ)
の3つの分野,業務で特に優れている方が高度外国人材とされ,それぞれ在留資格が認められています。
それぞれの高度専門職1号の在留資格で3年以上活動した場合には,高度専門職2号の在留資格へ変更することができます。高度専門職1号と2号の違いは,就労ビザで認められる仕事のほぼすべてができるようになること,在留の期限が無制限になることです。
2 高度専門職のポイント制度
どのような人が高度外国人材であるかについては,ポイント制度で評価されます。「学歴」,「職歴」,「年収」等の項目にポイントが設定されており,ポイントの合計が「70ポイント」を超えている場合に高度外国人材として認定されます。
細かいポイントに関する項目は入管のホームページでも確認することもできます(http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_3/pdf/h29_06_point-hyou.pdf)。
それぞれの詳細については,専門家とも相談するとよいでしょう。
高度専門職の在留資格を取得しようとする場合には,日本への入国前に高度外国人材であることの認定を申し出るか,在留資格の変更の申請を行い高度外国人罪の認定を受けます。どちらの場合であっても,ポイント計算が70点以上であることを証明できる資料を提出する必要があります。
3 高度専門職の在留資格の特徴
高度専門職は,優秀な海外の人材を優遇して日本に集めたい,という目的で作られた在留資格です。そのため,高度専門職1号,2号の在留資格には,他の在留資格と比べて様々な点で優遇されています。
①永住許可をもらいやすい
永住許可は,原則として日本に「10年以上」いなければ認められません。しかし,高度専門職の場合,ポイント制度で70点以上の人は「3年」,80点以上の人は「1年」以上に日本にいることで条件を満たします。そのため,高度専門職2号の在留資格の方は,既に永住許可の条件を一つ満たしていることになります。
また,高度専門職の在留資格の場合,在留期限は一律5年となりますが,これは入管法で認められる在留期限として最長の期間です。この在留期間が5年であるという点も,永住許可の条件の一つですが,高度専門職の方はこの条件も満たしていることになります。
②活動の制限が少ない
就労ビザ(在留資格)を持たない限り,原則として日本で働いてお給料をもらうということはできません。そして,就労ビザの場合でも,そのビザの基礎となっている仕事しかすることができません。
しかし,高度専門職の場合,複数の仕事を行うことが可能です。例えば,大学での研究を行いつつ民間企業でも商品開発をしたり,大学で研究・教育を行いながら会社を立ち上げて事業を行ったりする等が可能になります。
また,高度専門職の在留資格で日本に在留している外国人の配偶者の方も特定の業種について働きやすくなることがあります(高度専門職の在留資格の方の配偶者は,仕事をしない場合には「家族滞在」,仕事をする場合には「特定活動」の在留資格で日本に在留することができます)。
③家族やお手伝いさんと一緒に来日できる
高度専門職の外国人の配偶者,子供は「家族滞在」の在留資格で日本に在留できます。また,「外国人の両親」も日本に呼び寄せることができます。
今の入管制度では,高度専門職以外の在留資格では外国人親の呼び寄せはできず,短期滞在で日本に旅行に来てもらう程度しかできませんでした。しかし,高度専門職の外国人の方に7歳未満の子供がいて面倒を見てもらう場合や,高度専門職の外国人又はその配偶者が妊娠していて家事の手伝いをしてもらう必要がある場合には,子供が7歳になるまでの間,日本に呼び寄せることができます。これは,永住者であってもできない家族の呼び寄せです。簡単に言うと,「孫の面倒を見るおじいちゃん,おばあちゃんのための在留資格」です。この場合,高度専門職の外国人の親か,その配偶者の親のどちらかを呼び寄せられます。両方の親を同時に呼び寄せることはできません。
また,高度専門職の外国人の方は,外国人の家事使用人を雇って日本に来てもらうことができます。高度専門職以外に家事使用人を雇って日本に呼び寄せられるのは,「外交」,「経営・管理」の在留資格の方,「法律・会計業務」の事務所の所長等に限られていました。
外国人の家事使用人を雇って日本に呼び寄せ,在留させられる場合には,
- 来日前から1年以上雇用していた場合
- 子供の面倒を見なければならなかったり,家族が仕事や病気のために家事ができなかったりする場合
があります。
④申請,手続きが早い
在留資格などに関する手続きは,各地方の入国管理局(品川や大阪など)で行うことになりますが,どの地域も窓口は混みあっており,審査にも時間がかかっています。
そんななか,高度専門職の在留資格については手続きが優先的に勧められることとなっており,入国前の事前審査は10日以内,在留審査(資格の更新や2号への変更など)は5日以内をめどに処理されています。なお,法務省は公表しているデータによると,高度専門職の入国前の事前審査には平均して20~30日ほどかかっていますが,他の在留資格と比べてもやはり処理は迅速になされています(「留学」の在留資格は平均54日,「日本人の配偶者」の在留資格の場合には平均67日かかっています)。