このページでは,「研修」の在留資格取得について解説をしています。
研修の在留資格というのはあまりメジャーなビザではなく,聞いたことが無いという方も多いかもしれません。
また,技術の習得に関係しているという点では就労系のビザと似たような部分もあり,日本に学びに来るという意味では「留学」のビザと似ているような部分もある,やや特殊なビザです。
どのような場合に活用するのか,また申請の時の資料はどのようなものなのか,解説します。
このページの目次
研修の在留資格が認められる場合
「研修」の在留資格が認められる場合とは,
本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の習得に関する活動(技能実習と留学に関する活動を除く)
とされています。
2009年に入管法が改正されたことによって,これまでは「研修」や「特定活動」として行われていた外国人への技術指導が,「技能実習」という在留資格によって可能になりました。
参考 法務省HP
というのも,それまでの「研修」ビザによる外国人の受け入れは,「研修」とは名ばかりの,「人件費の安い労働者確保のためのビザ」として悪用されることも多かったためです。
その理由としては,研修のビザや特定活動のビザで在留している外国人と事業主(会社や個人事業主)との関係が「労働契約」かどうかがあいまいで,最低賃金の保障や労災の適用といった面で,外国人の立場が極めて低いまま
そのため現在,「研修」の在留資格は
・実務作業を伴わない非実務のみの研修(座学や講義など)
・国や地方公共団体が行う研修
・独立行政法人などの資金によって運営される事業として行われる研修
のみが該当することになります。
また,研修の在留資格が認められる活動は「報酬又は対価を得る活動」ではないため,雇用契約や業務委託契約といった形で給料を受け取ることはできません。
あくまで,日本で技術や知識を得るためだけの活動に絞られているのです。
実務研修も行う場合には,一定の条件(国または地方公共団体,独立行政法人によって実施される研修であること等)を満たす場合にのみ在留資格該当性が認められることになります。
在留資格認定証明書のために必要な書類
「研修」の在留資格認定証明書のために必要な書類は次のとおりです。
・在留資格認定証明書交付申請書 1通(こちらのリンクからもダウンロードできます。他の在留資格のものとは違うのでご注意ください。)
・写真(縦4cm・横3cm※三か月以内に撮影したもの) 1枚
・返信用封筒(404円分の切手を貼っておく) 1通
・研修の内容,実施場所,期間,進捗状況,待遇を確認できる書類
具体的には次のようなものの提出が求められます。
招へい理由書,研修実施予定表(法務省の書式があるためこちらを利用して作成しましょう),研修生処遇概要書(法務省の書式があるためこちらを利用しましょう),帰国後に修得した技能を利用して働くことを証する文書,履歴書,本国での所属機関に関する書類(法務省の書式があるためこちらも利用しましょう),受け入れ機関に関する登記や会計書類等
研修をあっせんする機関を介している場合には,あっせん機関についての書類も必要となります。
どちらかというと,日本での受け入れ機関側が作成すべき書類も多くありますので,研修のビザで日本に在留しようと思う場合には,事前に受け入れ機関とよく話し合っておく必要があります。
受け入れ機関としても,自分たちが準備すべき書類が多くあることを念頭に入れた上で,外国人研修生の受け入れの準備を行いましょう。
審査にかかる時間・在留期間
研修の在留資格認定証明書を「申請してから実際に交付されるまでの期間」は平均して約28日です。
一般的な就労系の在留資格と比べて同じくらいです。
認められる在留期間は1年,6か月,3か月です。
どのくらいの在留期間が認められるかという点については,実施される研修の予定期間によって異なります。
基本的に計画していた研修の期間が終われば在留期間の延長も認められないことになりますが,1年を超える研修の場合には最長2年まで在留が認められることとされています。
但し,それ以上の在留期間の「研修」ビザは認められていないため,外国人を受け入れて行う研修は,どんなに長くても2年以内にとどめておく必要があります。
まとめ
「研修」の在留資格取得について解説をしました。
「研修の」の在留資格は,「技能実習」の在留資格が新設されたことによって活用される場面が少なくなってしまっている在留資格ではありますが,公的機関が行う技術,技能,知識の習得に関する活動ではまだまだ活用の余地があります。
一方,過去には不当な外国人労働力の搾取に悪用されたという歴史もありますから,研修の在留資格の認定については,特に受け入れ機関が適切なところかどうか,不当なあっせんがなされていないかという点について,特に厳しいルールが定められています。
研修の在留資格について不安なこと,分からないことがある方や,受け入れ機関としての対応についてのご相談は,一度弁護士にご相談ください。