経営管理の外国人が万引き事件を起こすとどうなるか

【事例※フィクションです】

Aさんは、「経営管理」の在留資格で、日本に滞在している外国人です。
ある日、Aさんは、経営している会社の経営がうまくいかないストレスから、近くのコンビニエンスストアで栄養剤(100円程度)のドリンクを手に取り、ドリンクを持ったままレジを通さないで店を出てしまいました。
Aさんが店を出ていく様子は、店長に見られておりAさんが店を出たところで、店長につかまり、警察を呼ばれてしまいました。
なお、今回のAさんには前科前歴となるような事件はありませんでした。
このような事件の場合に、①どのような刑事処分を受けるのか、②退去強制処分になるのかについて解説していきます。

(1)窃盗の刑事罰

万引きは、窃盗罪として処罰されます。窃盗罪は、刑法235条に根拠があります。
刑法235条によれば、「他人の財物を窃取した」場合に窃盗罪が成立します。

この窃盗罪の量刑としては、10年以下の懲役又は、50万円以下の罰金が予定されています。

窃盗罪の刑罰の重さは、①被害額はいくらなのか、②盗んだ態様は巧妙なものなのか、③何回同様の事件を起こしているのか、④被害弁償を行っているのかによって決まります。
①については、被害金額が高ければ高いほど、重く見られます。
②については、隠したりするなど巧妙な手段である場合は重く見られます。
③については、何回も万引きを繰り返していると重く見られます。
④については、被害弁償を行っているという事情がある場合、有利な事情として見られます。

今回のAさんの事例の場合、被害金額は100円程度と大きくはありません。
また、盗品のドリンクを持ったまま店を出ていることから、巧妙な態様によるものとは言えません。今回のAさんについては前科がなく初犯として処分を受けることになります。

被害弁償を行ったかどうかは不明ですが、被害弁償を行えば有利な事情として見られます。

今回のAさんの場合、万引き事件としては、初犯で被害金額も少ないことから、窃盗事件の中でも中程度から軽度の部類に入ると思われます。
そのため、処分としては重くても罰金刑程度で終わる可能性が高いでしょう。
ただし、ストレスなどから同様の万引き事件を繰り返してしまうと、前科が多いということで執行猶予付きの有罪判決となり、さらには、実刑判決を受ける可能性があります。

万引き事件に対する弁護活動についてはこちらもご覧ください

万引き

(2)入管関係でどのような処分がされるか

「経営管理」の在留資格の人が退去強制となるかどうかについては、入管法24条4号の2に根拠があります。
この規定は「別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの」と規定されているため、窃盗罪について、懲役刑(執行猶予付きの判決を含む)となった場合に、退去強制処分となることが規定されています。

そのため、窃盗罪で罰金刑となった場合は退去強制処分の対象にはなりません。
しかし、罰金刑となったとしても、窃盗罪の前科として残る関係から、在留期間の更新の際に不利益に考慮されます。

(3)弁護士としてできること

このような刑罰や入管手続きにおける不利益があることから、弁護士としては、①被害弁償を行い、被害回復を行い、不起訴を目指すこと、②在留期間の更新の罪に不利益が出ないよう交渉することが考えられます。

このように活動することで、窃盗罪の前科が付かないようにできたり、在留期間更新がされず日本に居られなくなるという事態を回避することができます。
窃盗事件を起こしてしまった場合や警察から取調べを受けているという場合、家族が警察で取調べを受けている等という場合には、迅速に弁護士に依頼することをお勧めします。

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