不法就労助長罪で逮捕される?

日本で外国人を不正に働かせていたとして,日本人が逮捕されるという事案が,ちらほら見られます。

2021年2月18日 滋賀県の人材派遣業の社長が逮捕された事例

2020年2月19日 愛知県の人材派遣業の社長が逮捕された事例

どのような場合に不法就労助長罪で逮捕されることが多いのでしょうか。

不法就労助長罪で逮捕される場合

不法就労助長罪は,在留資格のない外国人,在留期間を過ぎて日本に在留している外国人,在留資格は持っているものの就労ができない,もしくは制限されている外国人を,働かせるという犯罪です。不法就労助長罪に対しては,3年以下の懲役または300万円以下の懲役と,出入国管理法の中では重めの処罰の規定が定められています。

不法就労助長罪についての解説はこちら

不補就労助長罪は,「日本で不法就労をする外国人」と,「日本で外国人を働かせている人」の計2人以上がかかわっていないと成立しない犯罪です。そのため,不法就労助長罪が疑われる事件の場合は,ほとんどが共犯事件となります。共犯事件の場合,複数の被疑者がいて,それぞれが話し合って,話のつじつまを合わせるのではないかと疑われます。

例えば,雇用主が外国人に対して「勝手に働いていたことにしてくれ,俺が仕事の指示をしていたことは黙っていてくれ」等ということが考えられます。

また,不法就労をさせていた事業の規模が大きい(数十人以上を使って行う事業や,余罪が疑われるような事案)の場合には,悪質な事案として逮捕される可能性が高まります。

このような共犯者間での話し合いや辻褄合わせや,タイムカード等の証拠が隠滅されることを防止するために,不法就労助長罪の事件では,働いていた外国人も,働かせていた人も逮捕されるという事例が多くあります。

誰が逮捕されるか

不法就労助長罪が疑われても,従業員の全員が逮捕されるわけではありません。

通常,逮捕されることが多いのは

不法就労をしていた外国人

事業の代表者

で,他の従業員については,不法就労にどれだけかかわったのかで,逮捕されるかどうか,被疑者として扱われるかどうかが変わってきます。

例えば,採用担当の社員や面接を行った社員も,関係者として事情聴取を受けるかもしれませんが,会社の従業員としての立場として採用活動をしたのであれば,被疑者として扱われない場合があります。

逆に,採用や人事に関わっていなかったとしても,自分の事業で外国人を働かせていて,そこの不法就労の人が紛れていたという場合でも,不法就労助長罪の被疑者として逮捕される可能性があります。

ポイントになるのは,①自分の事業で働かせていたかどうか,もしくは他人の事業で働くように仲介や斡旋をしていたかどうか,②外国人が不法就労とならないかどうかの確認義務を果たしたかどうかという点になります。

まとめ

今回は,不法就労助長罪について報道されている例なども紹介しながら,不法就労助長罪での逮捕について,逮捕される人の範囲,どのような事件で逮捕されることが多いのかについて解説をしました。

不法就労助長罪は,「不法就労だとは知らなかった」と言っても逃れられない可能性のある犯罪です。特に,外国人の方を雇うことが多い事業の方は,よく確認しておかなければなりません。

外国人の雇用に不安がある方も一度ご相談ください。

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