団体用の在留資格認定証明書があることをご存知でしょうか。
「在留資格認定証明書」とは,短期滞在(ツーリストtourist)以外の在留資格で日本に上陸しようとする方が,事前に「日本で在留資格(ビザ)が認められるかどうか」の審査を受け,その審査を通過していることを証明するものです。
本来の手続きだと,日本の空港や港の入国審査場で上陸審査を受け,査証(パスポートが本物であることの証明)の審査と,在留資格が認められるかどうかの審査を受けます。
特に在留資格が認められるかどうかについては,提出書類がたくさん必要になったり審査に時間がかかったりと,その場で審査を受けるのはとても大変です。
そのため,通常は,日本に向けて出国する前に,在留資格が認められるのかどうか審査を受けておくのです。それが,在留資格認定証明書というものです。
在留資格は,一人一人の外国人の方の活動内容に応じて認められているものです。ですが,団体として日本に入国するという場合,一人一人が別々に審査を受けていては,手続きに時間がかかってしまう場合があります。
その際には,「団体用の在留資格認定証明書」が発行されることがあります。
今回は団体用の在留資格認定証明書をご紹介します。
このページの目次
どんな団体が対象になる?
団体用在留資格認定証明書を受けられるのは,次の条件を満たすような団体に限られます。
- 申請時に15人以上の外国人で構成される団体
- 全員が同じ国の在外公館(日本大使館など)に申請をする
- 構成員全員について同時に入国することが確実な場合
- 在留資格が「興行」か「研修」であること
在留資格が「興行」の場合には,バレエ,オペラ,ミュージカルなどの舞踊や音楽の演奏,スポーツ,ファッションショー等の場合に団体用の在留資格認定証明書が認められます。
また,在留資格が「研修」の場合,研修期間が3か月未満であって,研修を事業とする公的機関が継続的に実施するものへ参加する場合に認められるものです。
団体で入国するからと言っていつでも団体用の在留資格認定証明書が認められるわけではなく,構成員の在留資格や日本での活動内容が限定されているといえます。
3の「団体の構成員全員について同時に入国することが確実な場合」について補足して解説します。
この「団体」とは,日本に入国しようとする外国人を指しています。
そのため,例えば,A国に拠点を置く,Bというサッカーチーム(構成員が80人とします)が,日本へ興行のために遠征をするとします。
その際,チームのうち40人が日本へ入国しようとする場合,この40人が「団体」となるのです。ですから,Bの全員が日本に入国しなくても,「遠征組全員が同時に日本に入国する」という場合であれば団体用の在留資格認定証明書の対象となります。
途中で人数が変わったらどうなる?
もしも団体用の在留資格認定証明書が交付された後,団体の人数が変わったり,数人が体調不良で日本へ出国できなくなった場合にはどうなるでしょうか。
入管の取り扱いによると,申請後に団体の人数が減って15人未満になったとしても,事情によっては,引き続き残りの構成員を団体として扱うことを認めています。
ですので,15人未満になってしまったとしても,再度個人用の在留資格認定証明書の申請をしなくてもよい場合があるということです。
また,体調不良のために日程をずらして日本へ入国することになった外国人の方については,個人用の在留資格認定証明書を作成するとされています。
個人用の在留資格認定証明書も,団体用の在留資格認定証明書と同じ日に作成されたものとみなして扱われます。
いずれの場合であっても,団体から離脱したり入国を取りやめた人については,団体用の在留資格認定証明書の名前記載部分を削除する必要があるため,一度,入国管理局に団体用の在留資格認定証明書を提出する必要があります。
入国管理局にて一部削除が済んだら,再度団体用の在留資格認定証明書は返却されますので,ご安心下さい。
まとめ
ややマイナーですが,団体用の在留資格認定証明書をご紹介しました。
同じ目的で入国する場合に,ひとりずつ申請を行っていくのが大変な手間になってしまうという場合には,団体用の在留資格認定証明書の交付を申請するというのも,選択肢としてありかもしれません。