戸籍を貸したらになったら犯罪者!?偽装結婚は何罪になる?

(架空の事例です)

Aさんは東京都内で生活する会社員でした。ある時知人から「戸籍を貸してくれたら毎月20万円もらえる」という話を聞き,怪しいなと思いながらもその話にのっていましました。

Aさんは,その知人から言われるまま,戸籍謄本を取り寄せ,印鑑と一緒に渡してしまいました。その後の話を聞くと,どうやら,Aさんは外国人であるBさんと婚姻届けを出して結婚したことになっていたようです。Aさんは当時独身で,交際相手もいなかったことや,お金がもらえるならば良いと思って,Bさんとの婚姻届けをそのままにしてしまいました。結局,AさんはBさんと一度も会うことがありませんでした。

その3年後,戸塚警察署の警察官がAさんの自宅にやってきて,Aさんは事情聴取を受けてしまいます。

Aさんにはどのような犯罪が成立し,Aさんはどのようになってしまうのでしょうか。

「戸籍を貸す」だけでも犯罪になることがある

Aさんは軽い気持ちから戸籍を貸す,つまり,Bさんの結婚相手となってしまったようです。これが,本当にBさんと結婚して婚姻生活を営むつもりがあったのであれば良いですが,「結婚して夫婦として生活するつもりはないのに,婚姻届けを出す」ということであれば,犯罪に該当します。

いわゆる「偽装結婚」と言われるようなものです。偽装結婚の場合には,公正証書原本不実記録罪が成立します。

これは,嘘や虚偽の申告をして,戸籍や住民票といった公の文書に真実と異なる記載をさせたことに対する罪です。偽装結婚のほかに,地上げ行為や車庫飛ばし等と言った行為もあります。

偽装結婚,公正証書原本不実記録罪は,5年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性がある犯罪です。

戸籍を使わせるだけだから良いと思った,お金がもらえるし誰に迷惑をかけるわけではないから良いと思った,という方もいますが,れっきとした犯罪であることを覚えておきましょう。

Aさんは逮捕される?起訴される?

偽装結婚をして公正証書原本不実記録罪に該当してしまった場合,逮捕される可能性が非常に高いです。

逮捕されるか/されないかという判断では,事件が重大なものであるかどうか,また,口裏合わせがされるかどうかという点が判断ポイントになります。

偽装結婚のような事件では,「戸籍」という日本の家族制度の根底をなすものに嘘の記載がなされたということになりますから,重大な事案とみなされることがあります。

また,偽装結婚は一人ではできない,すなわち,相手となる外国人の存在があります。警察当局としては「二人で『本当に結婚して夫婦として生活するつもりがありました』と口裏を合わせられるかもしれない」と疑う事案です。さらに,結婚相手を斡旋するものの存在,いわゆるブローカーの存在も窺われる事件ですから,逮捕される可能性も高いのです。

加えて,公正証書原本不実記録罪には,明確な被害者がいません。そのため,示談をして不起訴を狙うということができない事件です。上記の通り,「戸籍」の制度そのものを害する犯罪になりますから,重大な事案として初犯であっても起訴される可能性が高いです。

偽装結婚について不安なことがある,お心当たりがあるという方は是非一度,専門家にご相談ください。

Aさんは再婚できないのか?

Aさんは今後,逮捕,起訴されて刑事事件として扱われる可能性が非常に高いです。

しかし,刑事事件は,あくまで「その人に対して刑罰を科すかどうか」を判断する手続きです。そのため,刑事事件を通してAさんの戸籍が完全に回復される,というものではありません。

公正証書原本不実記録罪によって処罰された方の場合,有罪の判決が確定すると,検察庁から各自治体に対して「この人の戸籍は嘘の記載がありましたよ」と通知がなされます。

この通知を受けて,各自治体が戸籍を訂正することになります。

そのため,Aさんが逮捕,起訴されれれば,ある程度時間がたったところで修正される可能性があります。

偽装結婚をしてしまった後の戸籍についてご不安なことがある方は,是非弊所まで一度ご相談ください。

もしも,Aさんがばれていなかったら・・・?

仮に,Aさんが警察から指摘されることなく生活していたらどうなるのでしょうか。

もちろん,Aさんが自分で手続きを行わない限り,戸籍上はBさんと結婚している状態が続くことになります。

そのため,もしAさんが別の人と結婚したいと思っても,重婚になってしまうためできません。また,Aさんの家族としても,Aさんがなくなった場合,戸籍上はBさんが法定相続人になってしまうため,相続に大きな影響が生じてしまいます。

もちろん,Bさんの居場所が分かって,手続きに協力してくれるようであれば,離婚をしたり,戸籍の訂正を申し立てたりすることができます。しかし,偽装結婚の場合,Bさんがそのように協力的であることはないでしょう。

Aさんが自分で婚姻状態を解消しようと思った場合,裁判所での手続きを経なくてはなりません。

相手の居場所も分からない結婚を解消するのは,非常に困難です。

偽装結婚をしたけれども解消できないで困っている,警察に出頭すべきなのかどうか分からなくて困っているという方は,是非弊所までご相談ください。

外国人事件,刑事事件の両方について経験のある弁護士が,最善の手段のためのアドバイスを提供します。

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