技能実習制度が廃止される可能性?新たな受け入れ制度ができるのか?

「技能実習制度の廃止」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

昨年から政府にて議論がなされていた「技能実習制度と特定技能の一本化」について、2023年4月に政府の有識者会議にて、技能実習制度を廃止する方向性であることが発表されました。
政府は、外国人が働きながら技術を学ぶ技能実習制度を廃止すべきだとした上で、人材確保などを目的に中長期的な滞在を円滑にし、転職についても一定程度認めるように緩和するといった技能実習制度に代替する新たな制度への移行を求める中間報告のたたき台を示しました。

外国人が日本で働きながら技術を学ぶ技能実習制度は、発展途上国の人材を育成する「人づくり」を通じた国際貢献を目的とする一方、実際は労働環境が厳しい業種を中心に人手を確保する手段になっており、失踪などのトラブルが相次ぐなど、目的と実態に乖離がありとの指摘が少なくありません。

技能実習制度は、2017年11月に出入国管理及び難民認定法から独立して制定された「技能実習法」により従来の技能実習制度をアップデートして、技能実習を推奨していましたが、技能実習生は人材難が深刻な地方や中小企業でニーズが高いですが、違法な低賃金で長時間労働を強制されたり、実習先で暴力を受けたりするケースがあとを絶ちません。

また、実習生の約50%以上が母国の送出し機関や仲介者に手数料などを払うため、来日前に何かしらの借金を負って来日します。

転職や「転籍」をして,働く企業を変えることも,原則としてはできないことなどから、実習先から逃げ出した実習生はおよそ7,000名にも及ぶといわれています。

こうした実態を見直すため、2022年11月に政府の有識者会議が設置され、2022年12月から計4回にわたって議論が行われてきました。

技能実習制度に代替する新たな制度では、人材育成だけではなく「働く人材の確保」を主な目的に掲げ、これまで原則できなかった働く企業の変更も、従来の技能実習制度に比べて緩和し、一定程度認める方針です。

また、技能実習生として3年以上の実習を修了した場合に、試験を免除される「特定技能」への移行が円滑にできるようにして、中長期的に活躍する外国人材の確保につなげるとしています。

さらに、技能実習生を団体監理型で受入れをする場合に、送出し機関と受入れ会社の仲介してきた「監理団体」について、受入れ会社への適切な監査を怠り、行政処分を受ける例が相次いでいるため、技能実習制度に代替する新たな制度では会社からの独立性の確保など、「監理団体」としての要件を厳格化するとしています。

いずれにしても、今秋をめどに有識者会議にて最終報告書を提出する予定になっています。

以上のように、技能実習制度が廃止され、技能実習制度に代替する新たな在留資格の創設が検討されておりますので、現在技能実習生を受け入れている企業などは、今後どのように議論がなされていくのかに注目しておいた方が良いかと思います。

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