外国人を雇うときに気を付けること

1 外国人を雇入れるときに注意しなければならない点

外国人を雇入れるときに注意政府が公表している数値によると,2019年9月末時点での生産年齢人口(15歳から65歳までの人口)約7500万人で,ピークであった1995年以降,減少し続けています。生産年齢人口は一般的に,その国の経済における生産活動の主体を担っていると考えられている人口の層です。

政府も生産年齢人口の減少を受けて,国内の労働力不足解消のために,外国人労働者も積極的に受け入れる方針を示しています。

外国人労働者に対する在留資格の幅が広がったことで,大企業のみならず中小企業でも外国人を雇入れる事業主の方が増加しています。外国人を雇入れるときに注意すべき点はどこにあるのでしょうか。

 

2 まずは在留資格を確認する

日本で外国人を雇う際に,一番注意しなければならないのが,在留資格です。在留資格とは,外国人の方が日本で滞在するための資格で,日本での活動内容に応じて29種類(令和2年4月時点)の在留資格に分類されます。

このうち,仕事を行うことができる在留資格は約20種類(それぞれ仕事の内容に制限がある場合,ない場合があります)あり,その他の在留資格の場合には,「資格外活動許可」という法務大臣(ないしは入国管理局長)の許可を受けていなければ日本で仕事をして報酬を受け取ることはできません。

日本での就労が認められない在留資格の外国人や不法滞在状態の外国人を雇ってしまうと,不法就労助長罪という犯罪になってしまいます。これは「法律を知らなかった」や「在留資格を確認していなかった」という言い分は通用せず,逮捕される可能性がありますし,3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる可能性のある犯罪です。

外国人を雇入れる場合には,必ず在留カードと在留資格を確認して,適法に日本で働ける人材なのかを確認しましょう。そのうえで,事業の内容がその外国人の在留資格における活動内容と合うのか確認します。事業の内容と,外国人の在留資格に齟齬がある場合には,雇入れの際に在留資格の変更手続きをしてもらうことになります。

ここまで,既に日本にいる外国人を日本で雇うことを前提にしましたが,海外にいる外国人を雇って来日してもらうという方法もあります。その場合の手続きについては「海外にいる外国人を雇うときに気を付ける点」の項もご参照ください。

事業内容がどの在留資格に該当するのかわからない,どの業務であれば外国人労働者を受け入れてよいのかわからないという方は,雇入れ前に専門家と相談しておくことをおすすめします。

 

3 労働条件についてはよく説明を

在留資格の問題をクリアできれば,労働条件などについては基本的に外国人と日本人とで異なる部分はありません。最低賃金,法定労働時間,年次有給などは日本人と同様に労働基準法の規制があります。また,外国人であることのみを理由として賃金を低く設定したり,労働時間を恣意的なものにしたりすると,労働基準法違反(労働基準法3条均等待遇の原則)になるおそれがあります。労働条件を国籍によって変更するのは不合理な差別とされるため,学歴や職務経験,保有する技能のレベル等に応じた区別にとどめるべきでしょう。

外国人の雇い入れが決まり,労働条件が決まったら,その内容をよく説明しておかなければなりません。特に,国民年金保険や所得税に関する源泉徴収について説明をしておきましょう。一定期間日本に住所がある限り,国民年金,健康保険など社会本件に加入することになります。そのため給料の支払いの際,雇い主において社会保険料について源泉徴収する必要があり,額面の給与額と支払額に差が生じます。日本人としてはある程度当然の感覚ですが,文化や社会保険制度が異なる外国人の方の中には「正当な賃金が支払われていない」と思われてしまう方もいます。日本の常識を前提とするのではなく,当たり前のことも含めて丁寧に説明することが,後の労使間でのトラブルの防止にもつながります。

雇用契約書や労働条件通知書についても,日本語のものだけではなく,外国人の母国語訳か英文訳等を添付しておくことも有用です。

 

4 必ずハローワーク等に届け出る

外国人が日本で就職,転職した場合には,入国管理局に届け出なければなりません。そして,事業主も,外国人を雇入れた時には所定の機関に届け出をしなければなりません。

雇用保険の対象となる,もしくはならない社員を雇入れた時にはハローワークへ,それ以外の役員等を雇入れた時には入国管理局へ,外国人の在留資格や在留カードの番号,在留期間等を届け出なければなりません。この届出を行うためにも,雇入れ時の在留カードの確認は重要です。この届出を怠ると,事業主に対して罰金が科されることがあります。

雇用保険の対象となる社員であれば,「雇用保険被保険者資格取得届」の欄外への記載で足ります。

雇用保険の対象ではない場合(アルバイトやパートタイム等)には,「外国人雇用状況通知書」を作成し,ハローワークに提出します。これは外国人一人一人について作成してもよいですし,複数人分をまとめて提出しても構いません。

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