※このページは主に,日本人の方と外国人の方が結婚する時の手続について解説します。
このページの目次
1 外国人との結婚で注意すること
日本国内で日本人同士が結婚しようと思う場合,役所の所定の窓口に婚姻届けを提出します。これは日本の民法上,婚姻は書面で届け出をしないと有効ではないとされているからです(民法739条)。このような日本の民法に則った方法は,日本方式とされています。
当たり前のことと思われるかもしれませんが,世界レベルで見ると,婚姻の方式には違いがあります。
例えばイギリスの場合,役所に届け出るほかに,教会で宗教上の結婚式を挙げることで婚姻が成立したとされることがあります(宗派によって違いがあります)。また,フランスの結婚の方式は,結婚する当事者と証人が役所で市長の面前で婚姻の宣誓をするというものです。
日本で国際結婚をする場合には,日本方式によって婚姻をするか,外国方式によって結婚するかで,手続も変わっています。
「結婚」と一言で言っても様々な形があるのです。
2 日本方式による婚姻
日本方式で日本人と外国人が婚姻する場合,次の書類が必要になります。
- 婚姻届け
日本人同士で結婚する場合と同じ婚姻届けを提出します。外国人の方は本籍地などの記入欄に本籍国を記入します。 - 戸籍謄本
日本人の方の戸籍を確認するために必要です。なお,日本人の方の本籍地のある市役所に婚姻届けを提出する場合には戸籍謄本は不要です。 - 旅券(パスポート)
外国人の方の国籍を確認するために必要な書類です。 - 婚姻要件具備証明書
日本人同士の婚姻にはない書類です。独身証明書などと呼ばれることもあります。これは,「外国人の方が外国の法律上,結婚が出来る状態であること」を証明する書類です。具体的には独身であること,外国法上は結婚できる年齢に達していること等を外国人の本国が証明するものです。
日本の役所に提出する時には,外国語で書かれた婚姻要件具備証明書と日本語の訳文を併せて提出します。
国によっては婚姻要件具備証明書の発行がないことがありますが,その場合,宣誓書や陳述書などと呼ばれる書類で代用します。中身は婚姻要件具備証明書と同じように,独身であること,外国の法律上結婚できる状態であること等を記載します。
日本の役所にこれらの書類を提出すると,「婚姻届受理証明書」という書類が発行され,この書類を在日大使館へ提出することで,外国人の本国においても婚姻が成立することになります。
双方の国で婚姻が成立した後は,外国人の方の在留資格を変更することが出来ます。
3 外国方式で婚姻した場合の手続
外国方式で婚姻した場合には,外国方式で結婚できたことを証明する「婚姻証明書」を日本の市役所,もしくは在外日本大使館に提出します。
各国の婚姻の方式は,その国の法律によってさまざま異なりますので,分からないことがあるときには弁護士などの専門家にも相談すると良いでしょう。
4 婚姻した後日本で生活するためには?
日本人と婚姻した外国人の方が日本で生活する場合には,日本での在留資格を取得しなれ蹴ればなりません。日本人と婚姻した場合には,「日本人の配偶者等」の在留資格を取得することが出来ます。
既に外国人の方が何らかの在留資格で日本にいる場合(短期滞在や就労系の在留資格)には,入管の窓口で在留資格の変更を申請します。
また,外国人の方が入国前,もしくは婚姻届を提出して一旦本国へ帰国した場合等の場合は,日本人の方が,「日本人の配偶者等」としての在留資格認定証明書を申請し,証明書を取得出来たら外国人の方へ郵送し,その証明書をもって外国人の方が「日本人の配偶者等」として日本に上陸することが出来ます。
なお,「日本人の配偶者等」としての在留資格の取得,変更の手続きをすると,入管から「偽装結婚ではないか」と疑われることがあります。特に疑われることが多いのは,交際している期間が短い場合,外国人の方が過去に強制送還されたことがある場合,夫婦の年齢さが大きい場合等があります。
本当に結婚する意思があったにもかかわらず偽装結婚と疑われるのは,非常に悲しいことですが,真実の結婚であることを入管に対して丁寧に主張し証拠を提出しなければ在留資格が認められません。真実の結婚であったのに,自分たちで申請したら在留資格が不許可となってしまった,ということもあります。
国際結婚後の在留資格についてのお悩みや,不許可処分になってしまった場合には,弁護士などの専門家にご相談ください。家族として日本で生活できる方策をご提案できることがあります。