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外国人を雇って無許可で風俗店を営業したらどうなる?―経営者の刑事責任と外国人スタッフの退去リスク
外国人を雇って風俗店を営業する場合、法律上どんなリスクがあるのでしょうか。
特に、無許可で営業した場合には、経営者は風俗営業法違反で重い刑事責任を問われ、さらに外国人従業員にも退去強制(強制送還)の可能性が生じます。
実際に、外国人スタッフを雇った無許可営業店が摘発され経営者が逮捕された事例も報告されています。
本記事では、具体的な事例や関連法令を交えながら、外国人を雇用した無許可営業のリスクについて、経営者の目線で分かりやすく解説します。
1. 無許可営業と風俗営業法の基本知識
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(いわゆる風営法)は、キャバクラやホストクラブから性感マッサージ店まで、性風俗に関わる営業を幅広く規制する法律です。
風営法では無許可営業が禁止されており、風俗店を営業するには店舗ごとに都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません (風営法違反で逮捕される可能性はある?罪状や刑罰を解説 | 刑事事件相談弁護士ほっとライン)。
許可を得ずに営業すれば法律違反となり、後述する通り厳しい刑事罰の対象です。
なお、たとえ「マッサージ店」「メンズエステ」などと称していても、実質的に性的サービスを提供していれば風営法上の風俗営業に該当します。
外国人を雇用する場合であっても、許可が不要になることは当然ながらありません。
2. 事例(外国人を雇って無許可で営業していたチャイエスに警察が介入し逮捕された事例)
外国人を雇って無許可営業をしていた違法風俗店が摘発された事例があります。
例えば2020年11月、東京・日暮里の中国エステ店(いわゆる「チャイエス」)に警察の強制捜査が入り、40代の日本人経営者と30代中国人店長の女が風営法違反容疑で逮捕されました。
同時に、その店で働いていた24~35歳のベトナム人女性従業員3名も現場で身柄を拘束され、不法就労や売春に関与した疑いで取り調べを受けています 。
この店では約30人もの外国人女性を抱え、月に1億円近い売上を上げていたと報じられており、無許可営業が大規模に行われていた典型例と言えるでしょう。
3. 無許可営業に対する刑事罰の内容
無許可で風俗店を営業すれば、経営者には厳しい刑事罰が科せられます。
風営法の罰則では、無許可営業は「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」が規定されています (風営法違反で逮捕される可能性はある?罪状や刑罰を解説 | 刑事事件相談弁護士ほっとライン)。
実際の処分では、初犯なら執行猶予付き判決や罰金刑にとどまる場合もありますが、それでも前科がつき高額の罰金が併科されるリスクがあります。
また、外国人を本来の在留資格で認められている資格外で働かせていた場合には、入管法違反(不法就労助長罪)にも問われ、こちらも最大で3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金という重い罰則が科せられます。
不法就労助長罪の罰則は、上限が懲役5年・罰金500万円に引き上げられる予定です。
違反に対する姿勢は一段と厳しくなるでしょう。
さらに、店で実際に売春行為(本番行為)を行わせていた場合は、売春防止法違反にも該当し、追加の処罰対象となり得ます。
4. 外国人従業員の退去強制処分の可能性
無許可営業で働いていた外国人従業員には、強制退去(強制送還)の可能性が高まります。
警察による摘発時に外国人スタッフも逮捕された場合、入管法違反(資格外活動や不法滞在)で処罰を受けることになり、その後、入国管理局による退去強制手続きに移行します。
入管法24条には、資格外活動を専ら行っていた者や、不法就労罪で有罪となった者は退去強制の対象になると定められています (「留学」ビザで不法就労をしてしまった場合,どのような処罰を受けるのか | 入管,在留問題に強い弁護士事務所)。
基本的に、不法就労が発覚した外国人は在留資格が取り消され、日本からの退去を命じられます。
強制送還された場合、通常は5年間は日本に再入国できなくなり(場合によっては10年や無期限の場合もあります)、日本での生活基盤や仕事を失う重大な結果となります。
5. 弁護士ができる対応と弁護活動
無許可営業で逮捕・起訴された場合、早期に刑事弁護に精通した弁護士に依頼することが重要です。
弁護士は取調べ段階から経営者の権利を守り、必要に応じて警察・検察と交渉します。
風営法違反事件では、弁護士が違法性を認識していた程度や反省状況など有利な情状を主張し、不起訴処分や罰金刑にとどめるよう働きかけることができます。
外国人従業員についても、弁護士が入管当局に対し退去強制処分を避けられないか主張したり、在留特別許可の申請をサポートしたりすることが考えられます (「留学」ビザで不法就労をしてしまった場合,どのような処罰を受けるのか | 入管,在留問題に強い弁護士事務所)。
例えば、不法就労期間が短かったり、日本に家族がいるなどの事情があれば、情状を酌んで極力寛大な処分(起訴猶予や執行猶予付き判決)となるよう弁護活動を行います。
こうした弁護により、外国人本人が退去強制を免れる可能性がわずかながら生まれる場合もあります。
6. 経営者が取るべき予防策
最も重要なのは、風俗営業を営む際には必ず事前に公安委員会から営業許可を取得することです。
許可なしに営業するリスクは非常に高く、一度摘発されれば経営者生命を絶たれかねません。
また、外国人を雇用する場合は在留カードを確認するなど、適法に就労できる人材か厳格にチェックする必要があります。
留学生や技能実習生など、資格上風俗業で働けない外国人を決して雇わないよう徹底しましょう。
仮に本人から「大丈夫」と言われても、確認を怠れば経営者が不法就労助長罪に問われる可能性があります 。
不明な点があれば行政機関や専門家に相談し、法律に沿った営業形態・採用手続きを心掛けることが、経営者自身を守る最大の予防策です。
7. 事務所紹介(弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に取り扱う法律事務所です。
風営法違反や入管法違反を含む様々な刑事事件で豊富な実績があります。
外国人の案件にも精通した弁護士も在籍しており、言葉の壁がある場合でも安心です。
初回無料相談をご利用いただけますので、無許可営業でお困りの際や、摘発の不安がある場合にはお気軽にご相談ください。
逮捕前でも後でも、24時間365日体制でご相談を受け付けており、全国どこからでも迅速に対応いたします。
風俗店経営に関するお悩みや不安を抱えた方に寄り添い、最善の解決策をご提案できるよう尽力いたします。
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