外国人の社会保険

日本に住んでいる外国人の方に対して,日本の各種社会保険制度は適用されるのでしょうか。

また,日本で働く外国人の方は,日本の保険料を払わなければならないのでしょうか。

外国籍の方だけでなく,外国人を雇い入れようとする事業主の方も,気になる点なのではないでしょうか。

そんな,外国人の方々に対する日本の社会保険制度について解説します。ここでは主に,健康保険と国民年金(厚生年金)について詳しく解説します。介護保険,労災保険,雇用保険の他,年齢や状況によっては種々の制度がありますが,個別の取り扱いについて不明点がある場合には各機関の窓口,専門家へ相談することをおすすめします。

外国人にも社会保険が適用されるのか

最初に結論から申し上げると,外国籍の方であっても,日本の社会保険の適用の対象となります。

日本に居住している方であれば健康保険の被保険者となりますし,日本にある事業所で働いていれば厚生年金の被保険者となります。働いていないが日本に住んでいる外国籍の方(例えば,日本人の配偶者等の在留資格で日本に在留している場合等)には,国民年金の被保険者となります。

保険料についても,日本人であるか外国人であるかによっては変わりはなく,基本的に労使折半となります。

なお,国民健康保険に加入しているのであれば,一年間の所得額に応じて保険料が決まりますし,国民年金の場合には定額(令和2年度は1万6540円,年によって変動します)です。

日本に居住していると言えるかは,日本で住民登録されているかどうかがポイントです。

外国人の方の戸籍や住民票の手続きについては,こちらのページでも解説しています。

⇒日本に滞在する外国人の戸籍や住民票はどうなる?

外国人の社会保険のポイント

・健康保険について

健康保険に加入していないと,万が一病気やけがなどによって医療を受けた場合に高額な診療報酬を負担しなければならないことがあります。日常生活を行っていく以上,世界のどこにいたとしても病気やけがのリスクはつきものです。言語や文化が違う日本に住んでいるのであれば,なおさらです。まだ健康保険に加入していないという外国籍の方がいらっしゃる場合には,今すぐ手続きを行いましょう。

また,市役所や出入国管理局などの窓口で申請手続きを行うときに,保険証の提示を求められることがあります。仮に保険証をその場で提示できなくても,それが理由となって申請手続きが不許可となることはありません。ただし,永住許可や在留特別許可を求める場合には,「日本に定着している」という事情を示す必要があります。その際に,健康保険に加入して保険料をきちんと納めていれば,日本に定着して生活していることを示す事情になります。

事業主の方々も,外国人を雇い入れたとき,健康保険への加入の手続きを忘れないように行いましょう。文化や社会保険制度の仕組みの違いから,健康保険への加入を拒まれたり,保険料の徴収について意見を述べられる外国人の方もいらっしゃいます。その場合であっても日本の制度を丁寧に説明の上,ご了解いただくほかありません。雇い入れる外国人の方に,扶養する家族がいる場合には,日本人と同様に扶養家族も健康保険の被保険者となることが出来ます。

 

・国民年金,厚生年金について

日本に永住するわけではない外国籍の方にとって,日本で年金保険料を払うことはモッタイナイことだと思われるかもしれません。しかし,日本に在留している間に払った年金保険料が戻ってきたり,国籍国の年金保険料として計算されることがあります。

年金保険料を払っていたけれども日本から出国したという方は,一定の条件を満たしていれば,「脱退一時金」として定額の一時金を受け取れます。

脱退一時金が支払われる条件は次のとおりです。

①日本の住所が無くなってから2年以内に請求していること

②日本国籍を有していないこと

③保険料を支払っていた期間が6か月以上10年未満であること

※10年以上保険料を払っていた場合には,日本の老齢年金が受け取れます。

④既に年金を受け取っていないこと

受け取れる一時金の額は,保険料を支払っていた期間によって異なります。

「脱退一時金」を受け取った場合には,その期間,日本で年金保険料を支払っていなかったものとして扱われます。

 

一方で,日本との間で協定を結んでいる国(2020年3月25日時点で,ドイツ,英国,韓国,アメリカ,ベルギー,フランス,カナダ,オーストラリア,オランダ,チェコ,スペイン,アイルランド,ブラジル,スイス,ハンガリー,インド,ルクセンブルク,フィリピン,スロバキア,中国,イタリア,スウェーデン,フィンランド)から仕事のために派遣されて日本で就労,在留している間は,日本の年金保険料を支払っていれば,派遣元の国の年金も支払っていたと扱われます。協定締結国から派遣されている場合,日本からの出国する時に,脱退一時金を受け取るか,自国の年金の支払期間として算入した方が良いかどうかを考えなければなりません。

また,協定締結国から「5年を超えない見込み」で日本に派遣される場合には,一定の手続きを経れば,日本の社会保険への加入が免除されます。

 

年金の手続については,各地域の年金事務所の窓口にも問い合わせてみると良いでしょう。

お近くの年金事務所については,こちらのページからも確認できます。

⇒日本年金機構 全国の相談・手続窓口

まとめ

外国籍の方であっても日本で生活している以上は,健康保険や年金制度の対象となります。

それぞれ制度は複雑ですが,状況に応じて使い分け,免除される制度などを含めてうまく活用することが重要です。

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