永住者が強盗傷人罪を起こしてしまった,強制送還されるのか

【事例】
Aさんは、永住資格を持つ外国人です。前科前歴はありません。
ある日、友人B(日本人)が金に困っていたことから、カードショップに侵入しガラスケースをハンマーでたたき割り、その中のカードを奪い転売することを話し合い、その日の夜に実行することにしました。
AさんとBさんがカードショップに侵入し、ガラスケースを破壊したところ、防犯用のブザーが鳴ってしまいました。二人ともブザーが鳴っても、数分間は警察などは来ないだろうと思ってトレカを約500万円分ほどカバンに入れていましたが、すぐに夜間作業していたカードショップの店長に見つかって、Aさんは手をつかまれてしまいました。
このように、手をつかまれてしまったことから、手に持っていたハンマーで、店長の顔を殴って全治2週間のけがをさせ、店長の手を振り払い、逃走しました。
しかし、店長につかまるなどして、逃走するまで時間がかかったことから、逃走中に警察に見つかり、逮捕されてしまいました。

このような事例の場合に①Aさんはどのような刑事処分を受けるのか、②退去強制処分を受けるのかについて解説していきます。

強盗傷人により逮捕された場合,強制送還になってしまうのか

(1)強盗傷人罪に対する刑事処分

強盗傷人罪に対しては,刑法240条の定めがあり,法定刑(法律上,有罪の場合に科せられる刑の重さ)としては無期懲役又は6年以上の懲役刑が定められています。
強盗傷人罪は、強盗をするために暴行・脅迫を用いて、人をけがさせた場合に成立する犯罪です。
今回の事件の場合、500万円分のトレカを奪い逃走するために店長を殴り、けがをさせているため、強盗傷人罪に該当する行為を行ったということが言えます。
また、強盗傷人罪は法定刑として無期懲役刑が予定されていますので、裁判員裁判法2条1項1号に基づき、裁判員裁判対象事件になります。

強盗傷人に関する解説記事はこちら

【GW中も即日対応可能】強盗傷人罪で南警察署に逮捕

強盗傷人罪の量刑は、①被害金額、②けがの程度、③前科の有無、④被害弁償などによって決まります。

①については、被害金額が多ければ多いほど重く見られます。
②については、けがの程度が重ければ重いほど重く見られます。
③については、前科があれば、重く見られます。
④については、被害弁償を行っていれば、有利な事情として見られます。

今回のAさんの事件の場合、被害金額が約500万円と多額で、全治2週間のけがをさせていることから、これらの事情が重く見られる事情になります。一方、前科前歴がないことや、示談をすれば示談をしたという事情が有利な事情として見られます。

そのうえで、今回のAさんの事件は約500万円もの被害が発生している強盗傷人事件であることから、示談等がなければ6~10年ほどの実刑判決が予想されます。

(2)退去強制処分を受けるか

Aさんは、永住者ですので、入管法24条4号リに該当するかどうかが問題となります。入管法24条4号リによれば、1年以上の実刑判決となった場合には退去強制処分となることが規定されています。
今回のAさんの事件は情状が悪く、実刑判決が予想されることから、Aさんに対しては、退去強制処分となる可能性があります。

(3)弁護士にできること

このような処分が予想されることから、弁護士にできることとしては、①被害者に対して示談を行い、刑事裁判で有利な判決を得ること、②裁判員裁判に対応して、何とか執行猶予判決を得ることで、退去強制を回避することが考えられます。

①の被害者への示談については、起訴前に行えば場合によっては、不起訴で終わる可能性があります
②の裁判員裁判対応については、起訴されている以上なかなか難しいですが、被害弁償をしたことなどを主張して、執行猶予付きの有罪判決をもらうよう対応することが考えられます。

このように、弁護士を入れて示談等を迅速に行うことで、裁判所や入管から有利な判断を得られる可能性がありますので、強盗に関するような事件を起こしてしまった場合には、迅速に弁護士に相談することをお勧めします。

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