このページでは,「特定活動」の在留資格取得について解説をします。
特定活動ビザと一言でいっても,多種多様なものが存在し,中には「法律にあげられていないけれどもビザが認められる」という場合もあります。
就労ビザや留学ビザ,家族ビザが認められないという場合の手段として,特定活動のビザの取得を考えるべき場合というのもあるでしょう。
今回は,「特定活動」の在留資格の内容や取得手続のための書類について解説をしていきます。
このページの目次
「特定活動」の在留資格とは
「特定活動」の在留資格が認められる場合には,大きく分けると次の三パターンが,それぞれ,
B 告示特定活動
C 告示外特定活動
というものです。
A入管法上の規定のある特定活動とは,専門的な研究分野やIT関連事業に従事する際の活動のことを指しています。
特定活動の在留資格のうち,上記のAの類型の人は多くなく,むしろ,B告示特定活動やC告示外特定活動として在留する人の方が多いでしょう。
B告示特定活動とは,法務省が「この活動であれば特定活動の在留資格を与える」という告示を出している場合に認められるものです。
告示では,1号から50号まで細かく定められています(令和3年11月時点。なお,11,13,14号は削除されています)。
活動内容としては,インターンシップ,ワーキングホリデー,日本での医療等の他に,
・EPA看護師,介護福祉士候補者,
・建設就労者(国土交通大臣の認定を受けた計画に基づいた雇用でなければだめ)
・観光,保養目的での在留
等が挙げられます。
いずれの活動についても,告示に細かい要件(在留資格が認められる場合の条件)が定められています。
もっともわかりずらいものとしてはC告示外特定活動というものがあります。
これは,「法律にも告示にも,書かれてはいないけれども活動に応じては在留資格を認めますよ」というものです。
条文の根拠としては,「法務大臣が個別に認めた活動」であれば特定活動の在留資格が認められるということになります。
これまで告示が特定活動が認められてきたパターンとしては,
・留学の在留資格で大学や専門学校に通っていたけれども卒業後も就職活動を続けるため日本で在留するという場合
・難民認定申請をして,その結果が出るまでの間,他の在留資格が認められない中で日本に在留する場合
・日本の教育機関に在籍する子供を養育するために日本に在留する場合
等があります。
また,近年の感染症拡大の影響を受けて,本国に帰国できなくなった人が帰国可能になるまで日本に滞在するという場合にも,「特定活動」の在留資格が認められていました。
近時では人の往来も戻りつつあるため,「帰国困難」を理由とした特定活動については認められず,また更新もされなくなっているものかと思われます。
在留認定証明書のために必要な書類
「特定活動」の在留資格について,在留資格認定証明書の交付を申請する場合には,次の書類が必要になります。
・在留資格認定証明書交付申請書 1通(特定活動の場合,1号から50号のどの活動について申請するかによって,申請書の形式も変わってきます)
・写真(縦4cm・横3cm※三か月以内に撮影したもの) 1枚
・返信用封筒(簡易書留として404円分の切手を貼っておく) 1通
・活動内容に応じた書類
自分がどの特定活動該当するとして在留資格の認定を申請するのかに応じて,提出すべき書類は全く異なります。
そもそも,どの類型の特定活動に該当する可能性があるのかについては事前に専門家に相談しておいた方が良いでしょう。
審査にかかる時間,在留期間
特定活動の在留資格認定証明書を「申請してから実際に交付されるまでの期間」は平均して「27日」です。
ただし,これは40種類以上ある「特定活動」の在留資格の全部について平均した審査の期間になりますので,具体的な特定活動としての種類に応じてはもっと早く審査が終わったり,逆にもっと長い期間審査に時間が掛かるというということもあります。
特定活動の在留期間としては,当該活動の内容や法律によって定められている活動なのか,告示によって定められている活動なのか,告示によっても定められていない活動なのかによって期間も変わってきます。
そのため,特定活動の在留期間は「3か月~5年」の幅の中から個別に決定されることになります。在留期間を更新する場合も同様です。
まとめ
特定活動の在留資格というのは,「外国人の日本国内での活動内容によっては在留資格を付与する」というものであって,結局,何について認められて/何については認められないのかが,はっきりとしていない在留資格です。そのため「開かれた(open)在留資格」とも言われることがあります。
他の就労系の在留資格や,家族関係のビザが認められない場合でも,事情によっては特定活動の在留資格を取得することができ,日本での在留を続けられるという可能性もあります。
特定活動の在留資格取得を検討されている方は一度専門家にご相談ください。