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1 入管による収容とは何か
日本に在留していたものの,退去強制事由があるとの疑いで違反調査が始まると,入国警備官によって収容令書が発布されることがあります。
この収容令書が出されると,まずは各地方の入国管理局にある収容場に収容されることになります。その後,入国審査官による調査や,不服がある場合の特別審理官による口頭審理,法務大臣による裁決等を経て,最終的な処分が確定するまでの間,多くの事件では収容が続きます。
また,退去強制令書が出されると,出国の日までの間も収容が続くことになります。この場合,数日のうちに出国する便があるとか,自費出国のめどが立っているなどという場合にはそのまま,各地方の入国管理局にある収容所で収容されます。一方,法務大臣の裁決において在留特別許可を認めるかどうかに争いがある事案や,裁判手続きが進んでいる事案等,収容期間が長引く可能性がある外国人の方は,入管の収容施設に移送されることになります。
入管の収容施設は日本に2か所あります。
法務局入国者収容所 東日本入国管理センター
- 所在地 茨城県牛久市久野町1766
- 公共交通機関 JR常磐線「牛久駅」から関東鉄道「牛久浄苑」行のバスで,「農芸学院前」で下車
- 面会受付時間 午前9時から12時,午後1時から4時(土日祝日を除く)
- 収容定員 700名(令和元年12月2日の時点では253人を収容)
法務局入国者収容所 大村入国管理センター
- 所在地 長崎県大村市古賀島町644-3
- 公共交通機関 長崎空港,JR大村駅からタクシー
長崎自動車道「大村インターチェンジ」から車で約15分 - 面会受付時間 午前9時から12時,午後1時から4時(土日祝日を除く)
- 収容定員 800名(令和元年12月2日の時点では74人を収容)
2 収容されている間の生活はどうなるのか
家族や友人が入国管理局の収容場や入国管理センターに収容されていて,不安な方もいらっしゃると思います。
☆収容中の生活はどうなってるの?
収容中は各施設によって決められたタイムスケジュールで生活しています。
入管の施設の外に出る場合を除いて基本的には手錠などをされることなく,収容場内で生活します。刑罰を受けているわけではないので,作業を強制される等ということもなく,運動をしたり本を読んだりすることも自由です。
食事についても施設によって提供されるものの他,自費で飲食品を購入したり,差し入れてもらったりすることもできます。
また,多様な外国人の方が収容されているため,宗教上の儀式や戒律などに従った生活様式などは尊重されることとなっています。居室には,宗教上のお祈りをするための方角の表示もあります。
☆収容されている人との連絡はどうするの?
収容されている方とも,施設内で面会することが出来ます。
各施設の面会可能時間のうちに所定の手続きを行えば,原則として1回30分以内の面会が出来ます。面会の際に差し入れを行うこともできます。差し入れの際に,自費出国のための現金や航空券,出国のための服などの荷物を差し入れることもできます。施設にもよりますが,飲食物を差し入れられることもあります。
収容されている方が現金を持っていれば,施設の中にある公衆電話から電話をかけることもできます。
3 収容された後の手続はどうなるのか
違反調査の結果,退去強制事由に該当しないと判断されれば,放免され日本での在留を続けることが出来ますし,その後自由に出国することもできます。再度日本に入国する際に,上陸拒否の理由にもなりません。
退去強制事由に該当し,退去強制令書も発布され,異議を申し立てないとなると,出国するまで,収容が継続されます。
違反調査を受けて収容されている場合や,退去強制令書が発布されて収容されている場合には,仮放免を得ることによって一時的に放免されることもできます。その間に出国準備をしたり,在留特別許可を求めて争うことになります。