地下銀行業務を行った場合の処分

銀行法違反に対する処分

【事例】
Aさんは,経営管理のビザで日本にいるα国籍の外国人で,普段は,レストランを経営しています。
ある日,Aさんは,レストランに来店する技能実習生から,α国に働いた金を安く送金する仕組みは無いかと聞かれたため,α国にある自分の会社の社員に相談したところ,地下銀行の手段があるといわれました。その方法年は,技能実習生が預けたお金を日本のレストランで預かり,α国の会社に金を預かったことを連絡し,お金を動かせるよう連絡する方法を思いつき,その通りに技能実習生の給料を預かり,α国にいる技能実習生の家族にお金を送金していました。
このような活動をしていたことから,技能実習生のうわさを聞き付けた警察官がAさんのレストランを訪れ,Aさんを銀行法違反で逮捕しました。

以上の事例を前提として,①Aさんが受ける刑事罰はどのようなものになるのか,②Aさんは退去強制処分となるのかについて解説していきます。

(1)地下銀行業務を行った場合の刑事罰

地下銀行を行って刑事罰を受けるのは,銀行法に基づく免許を受けること無く,送金や為替取引といった銀行にしかできない業務を行っているからです。

銀行法4条1項によれば,銀行業は免許を受けた場合でなければ営むことができないことが規定されています。この「銀行業」というのは,銀行法2条2項に規定されている「預金又は定期預金の受け入れと資金の貸付又は手形の割引とを併せて行うこと」,「為替取引を行うこと」が規定されています。

日本で給料を預かって,外国に送金する仕組みを作ることは,このうちの「為替取引を行う」ということに該当するので,このような送金の仕組みは銀行法2条2項にいう「銀行業」に該当し,銀行法4条1項の許可が必要になります。

銀行法4条1項に違反した場合には,銀行法61条1号に基づき,3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれらの併科が予定されています。
地下銀行を行った場合の量刑傾向については,他の犯罪の資金を隠すために無許可の銀行業務を行っていた場合などについては重く見られますが,そういった目的が無い場合,大体2年以下の懲役に対して執行猶予が付けられる執行猶予付きの懲役刑判決に数百万円の罰金刑が併科される有罪判決が下される傾向にあります。

今回のAさんの事例のような場合,地下銀行業務のみを行ったような事例ですので,Aさんの受ける刑罰としては,大まかに懲役2年以下に執行猶予が付き数百万円の罰金刑を受ける有罪判決になることが予想されます。

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(2)退去強制処分になるかどうか

強制送還されてしまう可能性は?

入管法24条4号の2には,銀行法違反が含まれていないため,銀行法違反により有罪判決となったことを理由として,退去強制処分を受けることはありません。
ただし,1年以上の実刑判決となった場合,入管法24条4号リに基づいて,退去強制処分を受けることはあります。

また,在留資格の更新の際にこのような地下銀行業務を行ったことが不利な事情として見られ,在留資格更新が上手くいかないことがあります。

(3)弁護士に出来ること

このような刑事処分が予定されていることから,弁護士としては,①銀行法違反の中でも悪情状と言えるような事情が無いとしてなるだけ有利な判決を受けるよう刑事裁判で主張したり,②在留資格の更新の際に在留資格の更新を受けるべき事情を主張して在留資格の更新を得ることができるよう動くことが考えられます。

このような活動が出来るので,銀行法違反で逮捕されたり,捜査を受けているという場合には,迅速に弁護士に相談することをお勧めします。

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