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1 日本にいる間にできること
在留資格が認められて日本への上陸審査も通過した場合,晴れて日本に入国することができます。
日本の制度では,日本に在留する目的に応じて在留資格が認められています。ですので,日本にいる間はその活動を行うことが前提となっています。在留資格に沿った活動を行っていなかった場合や別の活動を行っていた場合には在留資格が取り消されてしまうことがあります。別の活動を行う場合には,在留資格の変更手続きを行いましょう。
2 日本で働いていいの?
就労ビザと呼ばれる,就労関係の在留資格の場合,それぞれの活動によって報酬をもらい日本で生活することができます。高度専門職の在留資格の場合,1号の場合には関連する分野について,2号の場合には入管法上就労が認められるほぼすべての仕事をすることができます。
また,「永住者」「特別永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」の在留資格の場合には,仕事に制限はありません。仕事自体が違法なものでない限り,どんな仕事でもすることができます。
一方,留学,短期滞在,家族滞在の在留資格の場合には原則として仕事をすることができません。
3 在留資格にない活動をするときにはどうしたらいいの?
在留資格に関する活動以外のことをしたいとき,特に留学,短期滞在,家族滞在の在留資格を持つ方がアルバイトなどの仕事をしたいと思った時には,「資格外活動許可」という許可をもらわなければなりません。
この許可がないのに本来の在留資格と異なる活動をしていると,資格外活動として在留資格を取り消されたり,不法就労として逮捕されたりすることがあるので十分気を付けなければなりません。資格外活動許可のない外国人を雇った場合,雇い主も不法就労助長罪に該当することがありますので,雇う側も気を付けなければなりません。
☆資格外活動許可について
短期滞在の在留資格の場合,原則としてアルバイトなどの仕事をするための資格外活動許可は認められません。短期滞在は旅行や親族の訪問などの一時的な理由により日本に滞在することを認めている在留資格であり,働くことは認められません。
一方,留学の在留資格の場合,日本で学費を払い生活費を支出しなければならず,しかもこれが学校に通っている期間,中長期的に続くことが想定されます。その間全くアルバイト等仕事をできないと生活が成り立たないということもあります。そのため,留学の在留資格で日本に在留している方について申請があった場合には,1週間に28時間以内はアルバイトなどの収入を伴う資格外活動が許可されます。この場合の資格外活動は,働く場所や働くシフトなどを細かく決めることなく,留学中の勉学に支障がない範囲であり,1週間で28時間という時間内であれば,比較的広くアルバイトが認められます。
家族滞在の場合にも,同様に「1週間に28時間以内」の範囲で広くアルバイトが認められることもありますが,仕事の内容によっては認められないことがあります。
その他の在留資格で活動に制限があるもの(多くは就労系の在留資格)の場合には,個別の資格外活動について資格外活動許可を受けなければなりません。この許可なく就労をしていた場合には,不法就労として刑罰が科されたり,在留資格の取消や強制送還されたりといった処分が科されます。
4 よくある質問について
その他,外国人の方が日本にいる間に「これってできるの?」と悩むことが多いこととして,以下のようなものがあります。
Q 海外旅行はできる?
A 再入国許可を受けていれば,日本から海外旅行に行っても再入国できます。
日本を一時的に出国する時に再入国許可を受けていれば,再入国の時に元の在留資格を失うことなく再入国することが出来ます。
なお,短期滞在ではなく在留資格が3か月を超えて認められている人は,「みなし再入国許可」といって,日本を出国してから1年以内に日本に戻ってくれば,再入国許可が不要になります。
(みなし)再入国許可を受けないで日本を出国してしまうと,その時点で在留資格を失うことになってしまいますので,ぜひ気を付けましょう。
Q 家族は呼べるのか
A 呼べる資格と呼べない資格があります。
日本にいる外国人の方が,
教授,芸術,宗教,報道,投資・経営,法律・会計業務,医療,研究,教育,
技術・人文知識・国際業務,企業内転勤,興行,高度専門職,文化活動,留学
であれば,配偶者と子供を「家族滞在」の在留資格で呼び寄せることが可能です。
高度専門職の在留資格をお持ちの方は,小さい子供がいる場合やご自身か配偶者の方が妊娠している場合,両親も呼び寄せることが出来ます。
なお,家族の方に短期滞在の在留資格で日本に入国してもらうのが一番容易です。
Q 健康保険,年金には入れるの?
A 日本で住民登録のある人(3か月以上の在留資格を持っている外国人の方)は健康保険に加入できます。健康保険への加入は,各自治体の窓口で行います。
雇用契約に基づいて仕事をする場合,仕事中に怪我をしてしまった場合には労働災害として労災保険の適用があります。
常時5人以上が働く事業所で働いていれば厚生年金に加入できますし,働いていない方(留学生や一部特定活動の方)も国民年金に加入することになります。
なお日本の年金制度では,20歳から60歳までの方が年金保険料を支払うことになりますが,年金を受け取る年齢になる前に日本から出国してしまう方もいます。日本で年金保険料を6か月以上(国民年金の場合)払っていて帰国後二年以内に申請する等の条件を満たしていれば,支払った保険料のうちの一部を受け取れる場合があります(脱退一時金制度)。厚生年金の場合でも同様の制度があります。日本にある程度の期間在留していて,税金や保険料を払っていたという方は,帰国前に必ず確認しておきましょう。
年金について脱退一時金として一部を返してもらうほかに,日本で払った年金保険料を国籍がある国の年金保険料を払った分として扱える場合もあります。現時点では,ドイツ,イギリス,韓国,アメリカ,ベルギー,フランス,カナダ,オーストラリア,オランダ,チェコ,スペイン,アイルランド,ブラジル,スイスの方は,日本で年金保険料を払っていた期間を,国籍国での年金の支払い期間として通算することができます。