定住者が無免許運転で捕まるとどうなるのか

【事例】

実際の事件をもとにしたフィクションです
Aさんは,定住者の資格で日本に在留している外国人です。自動車学校に2,3回行って,めんどくさくなって免許証を取っていない関係から,自動車運転免許証は持っていません。
Aさんがある日,スーパーに買い物に行っていたところ,停車中の自動車(誰も乗っていない)に自分の車を当ててしまうというトラブルを起こしてしまいました。そのため,被害者に警察を呼ばれたところ,Aさんの無免許の事実が発覚してしまいました。
なお,Aさんに前科はありません。

このような事例の場合に,①どのような刑事処分を受けるのか,②退去強制処分を受けないか,在留資格更新に影響はないのかについて解説していきます。

(1)無免許運転の刑事罰

道路交通法84条1項によれば,自動車を運転するためには,自動車運転免許を取得する必要があり,自動車運転免許証を持たずに自動車を運転すると,道路交通法117条の2の2第1項1号の無免許運転罪を理由に処罰されます。
この刑の重さですが,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が予定されています。
量刑を左右する事情としては,①どのくらいの頻度で自動車を運転しているか,②無免許で運転して実際に事故を起こしたか,③自動車を処分したかなどが考慮されます。
①については,多く運転しているということであれば,事件について重く見られる事情になります。
②については,事故を起こしたということであれば,重く見られる事情になります。
③については,自動車を処分したら,反省している,再犯可能性が低いということで,軽く見られる事情になります。
量刑傾向としては,前科のない人の無免許運転の場合,罰金刑になることが多いです。あまりにも繰り返しているようですと,執行猶予付きの有罪判決となる可能性もあります。

参考記事 無免許運転に対する罰則

無免許運転をしてしまったら

(2)入管法上の処分について

退去強制処分を受ける可能性については,入管法24条4号リによれば,1年以上の実刑判決を受けた場合に,退去強制処分になることが規定されています。
そのため,前科のない人が,無免許運転を行って,実刑判決になることは考えにくいため,Aさんが,今回の事件ですぐに退去強制処分になることは考えにくいです。ただし,この後も,無免許運転を繰り返していると,実刑判決となり,退去強制処分となる可能性があります。
定住者の資格の場合,在留資格の更新の際には,「素行不良でないか」ということが問題になります。

そのため,無免許運転をしたという前歴や,罰金刑などを受けたという前科については,在留資格更新の際に不利益に考慮されます。
場合によっては,在留期間の更新が拒絶される可能性もあります。

(3)弁護人として出来ること

このような刑罰や不利益処分が予定されるため,弁護士としては,①有利な情状があるため,軽い刑罰を目指していくこと,②在留期間の更新を求めることを行っていく必要があります。
①については,自動車を頻繁には運転していないことを主張することで,より有利な刑罰を目指していくということが考えられます。なるだけ,執行猶予付きの有罪判決とならないよう活動していくことが考えられます。
②については,在留資格の更新の際に,無免許運転の事情があっても,在留資格の更新を認めるよう説得することが考えられます。

このように,無免許運転の事件であったとしても,有利な事情を主張することによって,より有利な刑罰を目指したり,在留資格の更新を認めてもらうということはできますので,迅速に弁護士に依頼することをお勧めします。

ご相談のお問い合わせはこちらからどうぞ。

お問い合わせ

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

03-5989-0843電話番号リンク 問い合わせバナー