強制送還とは、日本に滞在している外国人が一定の理由で日本を去るように強制される手続きです。
この記事では、強制送還の手続きと、それを避けるための「仮放免」について詳しく解説します。
このページの目次
事例紹介
実際に強制送還の対象となりうるケースを一つ挙げて解説をします(以下の事例はフィクションです)。
Aさんは20年以上日本に滞在していましたが、オーバーステイで逮捕され、強制送還の対象となり入管に収容されてしました。 オーバーステイとなってしまった間に、Aさんは日本人女性と結婚していました。
逮捕されてしまった後、Aさんの家族は弁護士に相談し、仮放免の手続きを行いました。 結果として、Aさんの身柄は解放され、その後の手続きで在留資格を取得することができました。
このように、強制送還の危機に直面した場合でも、適切な手続きと専門家のアドバイスによって問題を解決することが可能です。 特に、長期間の滞在や家庭状況なども考慮されるため、総合的な対応が求められます。
法律解説
強制送還手続きは、正式には「退去強制」と呼ばれ、主に4つの段階を踏むことになります。
- 理由となる事実の発生(例:オーバーステイ、不法就労、虚偽の申請、犯罪歴など)
- 入国警備員による調査
- 入国審査官による審査
- (場合によっては)法務大臣による裁決
退去強制の理由が発生した場合、その事実を入国管理局が知ると調査が始まります。 調査の結果は、入国審査官へ引き継がれ、「強制送還をすることが適法かどうか」の審査が行われます。 審査が終わると、強制送還か在留特別許可かが決定されます。
この一連の手続のうち2や3の段階で「収容令書」というものが発付されます。入管が出す逮捕状のようなものです。収容令書が発付されてしまうと,入管の施設に収容されてしまうことになります。
ここで重要なのが、「仮放免」という手続きです。 仮放免は、強制送還の対象となって収容されてしまった人が、一定の条件下で一時的に釈放されるという手続きです。 保証金を支払うことで、一時的に釈放される場合があります。 この仮放免によって、強制送還の手続き中であっても一時的な身体拘束から解放され、更なる手続きで在留資格を取得するチャンスが生まれます。
弁護士に相談することのメリット
強制送還の手続きは複雑であり、専門的な知識が必要です。 そのため、弁護士に相談することには以下のようなメリットがあります。
- 専門的なアドバイス: 弁護士は入管法に精通しているため、最適な対応策を提案できます。
- 手続きの迅速化: 弁護士が介入することで、必要な書類の作成や手続きがスムーズに行えます。
- 心のサポート: 強制送還は精神的にも負担が大きい。弁護士が法的な手続きをサポートすることで、心の負担を軽減できます。
- 仮放免の可能性: 弁護士は仮放免の手続きにも精通しており、その適用可能性や必要な手続きについて具体的なアドバイスが得られます。
弁護士に相談することで、強制送還のリスクを最小限に抑え、最良の結果を得る可能性が高まります。
仮放免の手続きについて
仮放免は、入管に一時的に収容されても、釈放が認められる特例措置です。 この手続きは、特に長期滞在者や家庭を持つ人にとって、重要な手続となります。 以下に、仮放免の手続きについて詳しく説明します。
- 申請タイミング: 入管の施設に収容されることが決まった後、速やかに申請することが一般的です。
- 必要書類: 申請には、身分証明書、在留カード、身元保証人の書類や家庭状況を証明する書類(例:結婚証明書)などが必要です。
- 保証金: 仮放免を受けるためには、一定額の保証金が必要です。最高額は300万円で、低ければ10万円程度で足りることもあります。この金額はケースバイケースで異なります。
- 審査内容: 入管法違反の重さ、家庭状況、滞在歴などが審査されます。これらの要素がポジティブであれば、仮放免の可能性が高まります。
- 仮放免期間: 仮放免が認められた場合、その期間は1か月から2か月程度です。仮放免の期間は更新することができ,期間満了前に入管の窓口へ出頭して更新のスタンプをもらうことになります。
仮放免の手続きは複雑であり、弁護士のアドバイスが非常に有用です。 適切な申請と審査を経て、仮放免が認められれば、強制送還を避ける大きな一歩となります。
まとめ
この記事では、日本に滞在している外国人が強制送還の対象となる可能性、そしてそのような状況を避けるための「仮放免」について詳しく解説しました。
強制送還は、その名の通り「強制的な送還」を意味し、多くのケースで家庭や仕事、人生に大きな影響を与えます。 しかし、仮放免という手続きを利用することで、一時的にでもそのリスクを回避し、新たな在留資格を取得するチャンスが生まれます。
強制送還や仮放免に関する手続きは非常に複雑で、専門的な知識が必要です。 そのため、弁護士に相談することで、最適な対応策を見つけ、手続きをスムーズに進めることが可能です。
最後に、強制送還の危機に直面した場合、総合的な対応が求められます。 長期間の滞在や家庭状況なども考慮されるため、一人で悩まず、専門家のアドバイスを求めることが重要です。