在留資格「技能」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
在留資格「技能」とは,
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う「産業上の特殊な分野」に属する熟練した技能
を要する業務に従事する活動
とされています。具体的に,どのような活動に対して認められる在留資格なのかという点を解説していきます。
このページの目次
1.「産業上の特殊な分野」とは
外国に特有又はわが国よりも高い水準にある産業分野のほか、その技能を有する者が日本に数人しかいない産業分野等も含まれます。
この結果、「技能」の在留資格による入国・在留には、いわゆる日本人との非代替性又は代替困難性が求められることとなり、「技能」の在留資格の対象となる者の範囲は狭く限定されていました。
しかしながら近時人手不足の観点から、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れの要望が強く、2018年に「出入国在留管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が可決・成立され、「特定技能1号」と「特定技能2号」が新設されました。
現在14の特定産業分野において、「特定技能」による就労が認められています。
このうち「特定技能2号」については、従事する業務が「法務省令で定める熟練した技能を要する業務」であることが要件として定められており、業務の熟練性が求められていますが、
「特定技能1号」については、従事する業務が「法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務」とされています。
在留資格「技能」において、分野だけではなく、技能水準についても、外国人技能就労者の受入範囲が拡大されました。(『入管関係法大全第2巻〔第2版〕』P154)
2.「技能」の基準について(一部抜粋)
一~三、八(略)
四 宝石,貴金属又は毛皮の加工に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において当該加工に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で,当該技能を要する業務に従事するもの
五 動物の調教に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において動物の調教に 係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で,当該技能を要する業務に従事するもの
六 石油探査のための海底掘削,地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査 に係る技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において石油探査のための海底掘削, 地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る科目を専攻した期間を含 む。)を有する者で,当該技能を要する業務に従事するもの
七 航空機の操縦に係る技能について二百五十時間以上の飛行経歴を有する者で,航空法(昭和二 十七年法律第二百三十一号)第二条第十八項に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事するもの
九 ぶどう酒の品質の鑑定,評価及び保持並びにぶどう酒の提供(以下「ワイン鑑定等」という。)に係る技能 について五年以上の実務経験(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含 む。)を有する次のいずれかに該当する者で,当該技能を要する業務に従事するもの イ ワイン鑑定等に係る技能に関する国際的な規模で開催される競技会(以下「国際ソムリエコンクール」とい う。)において優秀な成績を収めたことがある者 ロ 国際ソムリエコンクール(出場者が一国につき一名に制限されているものに限る。)に出場したことがある 者 ハ ワイン鑑定等に係る技能に関して国(外国を含む。)若しくは地方公共団体(外国の地方公共団体を含 む。)又はこれらに準ずる公私の機関が認定する資格で法務大臣が告示をもって定めるものを有する者
3.在留資格認定のポイント
(第4号)は、宝石、貴金属又は毛皮の加工に係る技能を有し、そのような技能を要する
業務に従事する者です。10年以上の実務経験を有することが必要です。
(第5号)は、動物の調教など、動物の調教に係る技能を有する者で、そのような技能を要する技能を要する業務に従事するものです。
本号の場合も10年以上の実務経験が必要です。
(第6号)は、石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査のいずれかに係る技能を有している者で、そのような技能を必要とする業務に従事するものです。こちらの場合も10年以上の実務経験が必要です。この実務経験の期間には、外国の教育機関において石油探査のための海底掘削、地熱開発のための掘削又は海底鉱物探査のための海底地質調査に係る科目を専攻した期間が含まれます。
(第7号)は、航空機の操縦士です。航空機の操縦に係る技能について250時間以上の飛行経歴を有すること及びこのような航空運送事業の用に供する航空機に乗り込んで操縦者としての業務に従事することが要件として定められています。
(第8号)は、スポーツの指導を行うものが対象です。
参考:『入管関係法大全第2巻〔第2版〕』P160~162