留学,文化活動とも呼ばれる在留資格は,国際的な教育,文化の交流を促進することを目的とした在留資格です。特に,留学の在留資格で日本に入国する外国人の方は非常に多く,平成30年の数値によると,「短期滞在」,「技能実習」についで,3番目に多くなっています。
どちらも働くことを前提としていませんので,原則的に働くことは認められていません。日本に留学する留学生の場合,アルバイトなどをして生活費や学費を稼ぐ必要もありますので,一定の条件の下,アルバイトなどの就労が認められることもあります。
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1 留学の在留資格
日本の大学(大学院,短期大学も含む),高校,高等専門学校や専修学校,これらに準じる機関で教育を受ける際に認められる在留資格です。
留学しようとする学校の種類や,授業を日本語で受けるのか外国語で受けるのかによって,留学の在留資格の認定の条件や提出書類が異なってきます。
留学の在留資格の場合には,日本への入国の前に,受け入れ先の学校からも書類の提出を求められますので,都度その指示に従って手続を進めましょう。入国手続きを自分でする場合には,弁護士などの専門家に手伝ってもらいながら進めましょう。
2 文化活動ビザ(在留資格)
文化活動の在留資格とは,
- 収入を伴わない学術,芸術上の活動
- 日本の文化や技芸について専門的な研究を行う活動
- 日本特有の文化や技芸について専門家の指導を受けて修得する活動
に認められているものです。
これらの活動について収入を得て続けることは想定されていないので,文化活動の在留資格の人は,日本で働いて給料をもらうことが出来ません。そのため,この在留資格を取得しようとする場合,日本に滞在している間十分に生活できるだけの余裕があること,たとえば奨学金がもらえているとか,十分な貯蓄がある等の条件があります。
日本特有の文化や技芸は,入管の解釈によると,茶道や生け花,柔道,空手,日本建築,日本画,日本舞踊,邦楽などがあげられています。これらについて日本で研究しようとする場合,日本で一から研究を始めるのではなく,外国において,ある程度の実績を上げていることが求められます。また,専門家から指導を受けようとする場合,その専門家の実績や指導の経歴などが求められます。
3 留学や文化活動の在留資格の人が日本で働くことはできないのか?
いずれの在留資格についても,日本で働くための資格ではありません。「少しくらいならいいだろう」,「生活のためには必要だから」という理由で,許可を受けないでアルバイトなどをしてしまうと,不法就労という犯罪になりますし,より悪質な事案とみられると日本から在留資格を取り消されたり,本国へ強制送還されたりするなど,非常に危険です。
このような方がアルバイト等で収入を得ようとする場合,資格外活動許可を得なければなりません。
資格外活動許可の申請にあたっては,在留資格の種類によって手続きが異なります。
・留学の場合
留学の場合,日本での学費や生活費を稼ぐ必要がありますので,最大で1週間に28時間以内(長期休暇中は1日8時間以内)で働く許可を得られます。留学中であれば,勤務地や勤務内容を指定せず,広く許可を得ることができます。例えばコンビニや飲食店で接客業,工場やラインでの製造業などの単純作業でも勤務することが出来ます。ただし,この場合であっても風俗営業(バーやラウンジなど)や性風俗店で働くことはできません。
・文化活動の場合
文化活動の場合には,原則として資格外活動は認められていません。そもそも働くことを認めていない在留資格ですし,収入がなくとも日本で活動できるからこそ在留が認められているためです。
例外的に,文化活動と関連する仕事でかつ,本来の在留の活動の妨げにならない範囲で,資格外活動が認められることがあります。この場合,勤務地や勤務内容を指定して許可を受けなければなりません。また,勤務地や勤務内容が変わった場合には再度許可を受けなおさなければなりません。
勤務内容としても,単純作業や風俗営業は認められず,文化活動に沿う仕事でなければなりません。例としては,大学での事務作業や,図書館の整理,研究機関での研究の補助などがあります。
文化活動の資格外活動の許可は留学の場合と比べて,勤務地や勤務の内容,勤務時間などでの制約や条件が厳しくなっています。