Aさんは経営管理のビザで入国し、日本国内で事業を営んでいました。
ある日、Aさんが路上を歩いていたところ、職務質問を受け、持っていた大麻草が発見されてしまいました。
このとき
①Aさんが受ける刑事罰はどのようなものになるか
②①の刑事罰によりAさんは退去強制となるか
以上の点について解説していきたいと思います。
大麻所持の刑事罰
大麻を所持していた場合、従前は大麻取締法違反で処罰されていました。しかし、法改正により麻薬及び向精神薬取締法違反で処罰されることになりました。
なお、注意を要する点として、従来大麻使用が処罰されていなかったところ、改正法では大麻使用(施用)も処罰の対象となりました。
大麻所持の法定刑は、従前は5年以下の懲役でしたが、改正により7年以下の懲役となりました。若干法定刑が重くなったこととの関係で、今後の裁判では今までよりも量刑が重くなる可能性があります。
ただ、初犯の所持の場合は執行猶予付き判決ということで変わりがないのではないかと思います。
大麻事件の刑事弁護についてはこちらからどうぞ。
退去強制となる可能性
それでは刑罰法令違反が退去強制事由となるかどうかを考えていきます。別表第2の在留資格の場合、入管法等在留関係の法律以外の刑罰法令が問題となる退去強制事由には、入管法24条4号チがあります。
入管法24条4号チは、「昭和二十六年十一月一日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻草の栽培の規制に関する法律(昭和二十三年法律第百二十四号)、あへん法、覚醒剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)又は刑法第二編第十四章の規定に違反して有罪の判決を受けた者」とするものです。
この4号チで問題とされるのは、いわゆる薬物事件で、罰金、執行猶予、懲役を問わず有罪となった場合には退去強制事由に該当します。大麻所持の場合執行猶予付き判決の可能性が高いと考えられますので、このままであれば退去強制事由に該当します。
先述の通り、大麻所持罪で刑事罰を受けてしまうと、退去強制となる可能性があり、日本国内に留まれない可能性があることを指摘しました。
検察庁は、全ての刑事事件について起訴をし、刑事処分を求めるのではなく、一定の事件を起訴猶予(不起訴)としています。
最終的な処分を決定する際、再犯の可能性や所持していた量は大きな考慮要素となります。
出来る限り刑事処分を軽減するためにも、検察官との交渉は不可欠です。
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