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外国人が罪を犯してしまったときに、すぐ弁護士へ相談すべき理由
日本に滞在する外国人が罪を犯してしまった場合、単に刑事罰を受けるだけではなく、在留資格の更新拒否や退去強制(強制送還)といった重大なリスクを抱えることになります。
こうしたリスクは日本人の場合よりも大きく、本人だけでなく家族や勤務先にまで深刻な影響を及ぼします。
だからこそ、トラブルが発生した時点で、できる限り早期に弁護士へ相談することが重要なのです。
外国人が刑事事件を起こしたときに直面するリスク
外国人が日本で刑事事件を起こした場合、日本人と同様に刑事罰を受けることになりますが、それに加えて在留資格への影響が避けられません。刑事事件の結果として有罪判決を受ければ前科が残り、入管当局の在留資格更新審査で「素行不良」と判断される可能性があります。特に、入管法24条に定められた退去強制事由に該当すれば、刑の内容にかかわらず強制送還の対象となります。退去強制の手続きは、入国警備官の調査、入国審査官の審査、口頭審理、法務大臣の裁決を経て進行し、最終的に日本からの退去を命じられることがあります。つまり、外国人が刑事事件を起こすことは、日本人以上に生活基盤を揺るがす重大なリスクを伴うのです。
事例
経営・管理ビザで日本に滞在していたAさんは、ある晩に友人と飲酒した後、自宅まで自転車で帰宅しようとしました。ところが、途中で警察官に呼び止められ、呼気検査を受けたところ基準値を超えるアルコールが検出され、自転車飲酒運転として検挙されてしまいました。自転車であっても飲酒運転が刑事罰の対象となることは、2024年の法改正により明確に定められています。Aさんは初犯で事故もなく、処分は罰金刑にとどまる可能性が高いですが、有罪判決を受けることで前科が付きます。外国人にとってこの前科は、将来の在留資格更新に大きな影響を与え、最悪の場合、退去強制につながるリスクを抱えることになるのです。
刑事罰と退去強制の関係
退去強制とは、日本から外国人を強制送還する手続きのことを指し、入管法24条に根拠があります。主な退去強制事由は、①薬物事件で有罪判決を受けた場合、②1年以上の懲役・禁錮刑を受けた場合、③一定の刑法犯(窃盗、詐欺、傷害など)で懲役刑に処せられた場合です。特に注意すべきは、執行猶予付きの判決であっても退去強制の対象になる点です。退去強制の手続きは、入国警備官による調査から始まり、入国審査官の審査、必要に応じて口頭審理や法務大臣の裁決を経て進みます。
違反認定をされてから実際に退去強制の命令が出されるまでの間に、日本での在留を希望する場合には在留特別許可申請をしなければなりません。たとえ軽微な違反であっても、刑事罰と退去強制の関係を正しく理解し、早期に備えることが重要です。
在留資格更新への影響
外国人が日本に在留し続けるには、在留資格の更新が必要です。この更新にあたっては「素行が善良であること」が要件とされています。有罪判決を受けると、この要件を満たさないと判断され、更新が不許可になる可能性があります。更新が認められないまま在留期限を迎えるとオーバーステイとなり、結果的に退去強制事由に該当してしまいます。特に経営・管理ビザのように事業活動を伴う資格では、社会的信用の低下がビザの継続に直結します。刑事事件自体が直ちに退去強制に当たらなくても、将来的な更新不許可という形で影響が現れるのが外国人特有のリスクです。したがって、軽微な罰金刑であっても安易に考えず、在留資格への影響を意識して行動する必要があります。
早期相談のメリット
刑事事件で検挙された段階で、できる限り早期に弁護士へ相談することには大きなメリットがあります。まず、刑事手続きでの適切な弁護活動により、罰金刑にとどめたり、不起訴処分を獲得したりできる可能性があります。処分が軽減されれば、在留資格への悪影響も最小限で済みます。また、入管手続きへの備えとして、在留特別許可の申請や善良な素行を示す資料の準備を前もって行うことができます。さらに、退去強制手続きは迅速に進むため、弁護士の助言なしでは手遅れとなる危険があります。早期に相談することで、刑事弁護と入管対応を並行して進められる点は大きな利点です。処分確定後では選択肢が限られるため、「まだ処分が出る前」に弁護士に依頼することが将来を守る最大の鍵となるのです。
外国人事件に詳しい弁護士の重要性
外国人が刑事事件を起こした場合、対応する弁護士が外国人事件に精通しているかどうかが結果を大きく左右します。刑事弁護の知識だけではなく、入管法や退去強制手続、在留特別許可の実務に精通していなければ、十分なサポートは困難です。例えば、日本人なら罰金刑で済む場合でも、外国人の場合は在留資格の更新不許可につながりかねません。こうした影響を見据えた弁護活動ができるかどうかが、専門性のある弁護士かどうかの分かれ目です。さらに、入管局に提出する書類の準備や、家族・事業の事情を説明する戦略立案なども、外国人事件に強い弁護士なら適切にサポートできます。刑事事件と入管手続きの双方を理解した弁護士に依頼することが、外国人本人と家族の生活を守るための不可欠な条件といえるでしょう。
事務所紹介
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件と入管事件の双方に精通した弁護士が在籍し、外国人の方々が直面する複雑な問題に総合的に対応しています。これまで多数の外国人事件を取り扱い、刑事弁護活動と退去強制手続、在留特別許可申請に関する豊富な実績を有しています。逮捕直後から接見に対応し、証拠収集や反省文の作成支援などを迅速に行う体制を整えています。また、在留資格の更新に不安がある段階でも、専門的視点からアドバイスを行い、必要な準備をサポートします。当事務所では、ご本人やご家族に寄り添い、最善の解決策を提案いたします。外国人事件でお困りの際は、どうぞ早期にご相談ください。
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